食の文化シンポジウム2014

「料理すること」

2014年02月22日(土) 13:30 ~ 17:00

テ ー マ「料理すること」
募集人数250名(申し込み先着順)
締め切り募集終了いたしました。
参加費用無料(事前申し込要)
会  場コクヨホール JR・京急 品川駅下車 港南口 徒歩5分(港南1-8-35)
主  催公益財団法人 味の素食の文化センター
後  援味の素株式会社

台風により延期いたしましたシンポジウムの開催ご案内です。

1026日に予定しておりました「食の文化シンポジウムー料理すること」は台風の影響により開催を延期いたしました。参加をお申込みいただいた皆様には大変ご迷惑をおかけいたしましたが、下記の通り222日(土)に開催する運びとなりましたのでご案内申し上げます。
※なお、前回お申込みいただきました皆様には優先的に別途案内状を送付しております。
※会場が変更されておりますのでご注意下さい。

 

テーマ「料理すること」

生きるために人間は様々な工夫をこらして料理をつくり、食べてきた。社会の発展に伴って料理の技術もまた著しい進化を遂げたが、現代人の生活様式や多様な価値観は「料理すること」にも大きな影響を及ぼしてきた。本シンポジウムでは、料理することの意義やモチベーションが時代とともにどのように変容してきたかに焦点をあて、それを産む背景となった社会と人間の関係を今一度考えたい。
 
 
基調講演1
「料理すること」 伏木亨氏(京都大学大学院農学研究科教授)
 
パネルディスカッション
コーディネーター:森枝卓士氏(フォトジャーナリスト)
パネリスト:川崎寛也氏(味の素㈱ イノベーション研究所研究員)
      関野吉晴氏(武蔵野美術大学教授、探検家、医師)
      伏木亨氏(京都大学大学院農学研究科教授)
      村瀬敬子氏(佛教大学社会学部准教授)

REPORT

食の文化シンポジウム2014
「料理すること」

公益財団法人 味の素食の文化センターは昨年の10月26日にシンポジウムを開催する予定で準備を進めていましたが台風の影響により延期となり、本年2月22日(土)に開催させていただきました。
 

基調講演では 京都大学大学院の伏木教授が料理することの意義やモチベーションが時代と共にどのように変容してきているかに焦点を当ててお話しをされました。また、パネルデイスカッションではこの基調講演を受けて、各パネリストがご専門の立場からご発表と活発な論議が交わされました。

公益財団法人 味の素食の文化センターは食文化を学際的に考える会員制の研究討論会「食の文化フォーラム」を年3回開催しており、公開シンポジウムはフォーラムで論議された内容を中心に関連する研究成果を一般の方々に広く知っていただく事を目的に毎年秋頃に開催しております。
 

また、このフォーラムで論議された内容は書籍として刊行されます。
「料理すること」については2013年9月に発刊されています。
詳しく見る


味の素食の文化センターでは、今後も公開シンポジウムをはじめ、公開講座、食の文化ライブラリー等の活動を通じ、一般の方々への食文化の普及・啓発に努めていきます。

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基調講演をされる 京都大学 大学院 農学研究科教授   伏木 亨氏
専門は栄養学。料理することの意義やモチベーションが時代と共に変容してきている事例を通し、広範な角度からお話しいただいた。ご自身の研究である、“病みつき”になる砂糖・油・だしの味についても事例をまじえ、ご講演をいただいた。料理や調理は、生きるための食を供する重要な意味を持つが、次第に楽しみのための快楽の食が増え、宮廷で食されていたような料理や食材が今日の一般家庭の食卓に上る。必要な栄養素の摂取を越えて、嗜好性の高い食を貪欲に摂取する部分はおいしさの快楽を求める食と言える。この“料理すること”は今後、どこへ向かうのか、科学技術や加工技術を応用して「驚きを食べさせる」ことに突出した料理もあらわれた。しかし、一方ではローカルな食事、なども含めた古典回帰への道。自然はもっと驚きであり、シエフ自らが食材を見直す。ここに和食たるものが合流し、そして彼らが行き着いたところが和食と言えるのではないか。現在の我々の食生活を見るとほぼ欲しい物が手に入る。それでも料理をするのは自分のしたいこと、自己実現というのに意味があるのではないか。家庭料理の簡便化は進んでいる。が、料理の規範は残っている。服を作るのは一部を除けば主婦の手から離れていると言えるだろう。料理は何だろうというおもしろい問いかけだ。料理することは時代と共に、1)生きるための料理、絶対に無駄を作らない、味よりも栄養素、2)その次においしさの追求、そして快楽の追求を経て自然回帰へ3)自己実現という変遷をたどっているのではないか。


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①パネルデイスカッション・コーデイネーター:森枝卓士氏
フォトジャーナリスト。専門は文化人類学。
パネリストの各専門領域をご紹介いただき、「料理すること」というテーマについて各パネリストの専門のお立場からのご発表をいただき全体のコーデイネーターを務めていただいた。

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②パネルディスカッション・パネリスト:関野吉晴氏
探検家として「グレートジャーニー」で様々な土地を訪ねておられるが、今回は極北及び熱帯雨林の狩猟民などのフィールドから得た原初とでもいうべきシンプルな食の紹介をしていただいた。また訪ねた先々での貴重な写真を公開いただき現地の様子をより身近に感じる機会となった。

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パネルデイスカッション・パネリスト:川崎寛也氏
現代の中国料理におけるプロ調理技術の「こだわり」について調理科学的視点から報告をいただいた。中国料理と言えば「炒め」は代表的な調理技法である。そして「だし」が調味の要と言われていることについて中国料理の湯をベースに「炒め」、「だし」のこだわり。そして現代のプロ調理においては「素材を活かす」ことが大きなテーマになっていることなど中国料理を主軸にお話しいただいた。

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パネルデイスカッション・パネリスト:村瀬敬子氏
「家庭料理は簡略化している」といわれる。その背景としては家庭電化製品やインスタント食品の普及、中食や外食産業の発達などである。しかし本当に簡略化しているのか?という問いかけからはじまり、「簡略化している」という主張も多いが、「簡略化していない」という論考もある事などを紹介。「料理の簡略化」を食事の用意や後片付けなど日常食にかかる家事の時間や労力の軽減と見なし高度成長期から2000年代までを対象に「家庭料理」規範の変遷について事例を組み込んで講演された。  
パネルデイスカッションの最後に伏木氏は“料理は今後どうなるか”という事について、以下の様にまとめられた。
料理することの意義は、大きくは変わらないであろう(おいしくて満足できるものを作りたいという点においては)。何がおいしく、何に満足するのかというのは今後大きく変わっていくかも知れない。おいしいというのは食べる人とか、環境とか、いろいろなものが影響してくる。その中で変わらないのは、油、砂糖、だしのうま味、これは未来永劫にわたり変わらないであろう。ただ、おいしさは流動的であり何が一番おいしいかはその時代により、その他の状況により変わりうる。最もおいしいものや、料理することはどんどん変わるだろう。そして将来の料理はかなり違ったものとなると思う。しかし、料理はその時代の人にとって満足できるものとして残っていくのではないか。